良質なポップソングのような
ビジネス書は、こんなことを言うと語弊があるけど、ノウハウにはあまり興味がない。ノウハウを作法と見て、その奥にある著者のたたずまいに興味がある。だから、書かれてあるノウハウを見て、「あ、この人はいい人だ!」って思ったりすることもあるし、逆に、ノウハウが腑に落ちなくて、「なんだろうこの人?」って思ったりすることがある。ノウハウから伝わる、その著者自身が、好きだったり嫌いだったりする。
で、結論から言えば『大事なことはすべて記録しなさい』は、心地よいたたずまいで、鹿田さんいいなあ、いい人だなあ、って思った。この本はきっと売れるけど、そんなことはあまりどうでもよくて、十年たったときにも、堂々とみせられる本だと思う。世の中には、十年後、恥ずかしくなるだろうという本がいくつかある。
「本を売りたいでしょ」という悪魔のささやきがある。それをささやくのは編集者で、そのささやきにそそのかされ、あんまり気持ちよくない、人に見せられない引き出しを引き出してしまうことがある。そういう本を見て「愛がないな」って僕は思う。
しかしこのささやきは気持ち次第で、天使のささやきにもなる。この本は本当に「売れる」つくりになっている。でもそれが嫌みになっていない。良質なポップソングになっている。そこには著者と編集者の「いい出逢い」があって、その出逢いの瞬間に立ち会ったような、そんなすがすがしい読後感を楽しんだ。(そう、僕の『IDEA HACKS!』もまた、「いい出逢い」のたまものでした。)
