Saturday, February 6, 2010

新しい認識をもたらす本(2010年2月6日のつぶやきより)

  • 00:03 本をつくるときに心がけていること。その本が「新しい認識をもたらしてくれる」ものであること。
  • 00:04 マーケットイン、プロダクトアウトの二元論で考えない。
  • 00:05 偉そうに語られるマーケティング理論ほど役に立たないものはないから。クリエイティブの手がかりとしてのマーケティングならOK。で、そうするとマーケットインとプロダクトアウトは、ほぼ同時に行われることになる
  • 00:07 ニーズ、ウォンツを、静止した時間の中で取り扱うのはどうなのか。マーケットは常に流動している。ウォンツはニーズとして顕在化するのは、あるタイミングにかかっている。一瞬でも早ければ理解されないし、遅ければ二番煎じになる
  • 00:07 偉そうに語られるマーケティング理論は常に、現実から一歩送れている。現実の分析だから。
  • 00:08 「新しい認識をもたらす本」というのはつまり、ウォンツがニーズにかわる瞬間を、一瞬だけ先取りしているということ。
  • 00:08 「半歩先を行け」と言われる。これはきわめて正しい。ただ、実行は非常に難しい。3歩先のほうがまだ楽
  • 00:10 認識が変わる瞬間。それは太陽が、昼から夜に変わる瞬間に、あの美しい夕焼けを生み出すような、きわめて繊細な営みである
  • 00:11 「分からないから本を書く」という作家がいる。これは正しい。認識が変わる瞬間を探りながら書き始める。書いてみる中でそのポイントにたどり着く。真っ赤な夕焼けを見る。「ああ、なるほど!」と書いている本人が頷く。誠実な本ができあがる。
  • 00:13 すでに自分が知っている答えを本に書き写すのであれば、そうした誠実さは生まれてこない。知らないことを書こうとする、そして書いているうちに知ってしまう、認識が変わってしまう。そうした本は、人に教えるというより、正直な告白に近い。
  • 00:14 「私はすでに知ってしまった人間で、愚かなおまえたちに教えてやるのだ」的なことを、もちろん表現には出さなくても、そういう特権的地位を無自覚にとって書かれた本は、残念。いいことが書いてあっても、それはその時点で鮮度を失っている
  • 00:15 オリジナリティなんてことを主張する人は、そうした特権的地位を確保することに汲々としている。オリジナリティが重要なのではない。
  • 00:16 オリジナリティではなく、ぼくは誠実さを重視したい。
  • 00:20 マーケティング用語が戦争用語でできているという批判が多い。これは誠実さと相容れない。「ターゲット」って何よ、銃で狙い撃つの?ということ。マーケティングをしたり顔で語る人は、危うい人が多い。銃の撃ち方を指南している人が多い。
  • 00:22 「こうすれば売れる」という指南は、下品だ。
  • 00:25 大切なのは「伝わる」であり「届く」。その届いたことを示す指標が、認識の変化。ボールが相手のミットに届いて、ぱーんといい音を立てる
  • 00:27 現状分析から商品を生み出そうとする人は、消費者が変化しない前提にたっている。たいへんに失礼。で、変わっていく前提に立つとどうなるか。今度は先が読めず不安になる
  • 00:28 だから、未来を予測するな、未来を創れ、ということになる。顧客の変化を予測するのではなく、顧客を自分の手で変化させるのである。それが「認識の変化をもたらす」本であり、製品である。
  • 00:28 iPhoneはそういう製品でしょ? 認識の変化をもたらした。iPadもおそらくそう。ジョブズはそこにフォーカスしている。未来予測しているわけではない。彼が未来を創っている
  • 00:29 相手を変化させたい、というのは、相手へのいい意味での依存。相手に依ってたっている。
  • 00:30 オリジナリティという主張。「これは俺のオリジナルのアイデアだぜ!」というのは、しかし受け取る相手にはまったく関係のないこと。オリジナリティにフォーカスしてはだめ、相手の認識を変化させることに注力しなきゃ
  • 00:31 相手の認識に変化をもたらすイノベーションは主客不可分の世界である。
  • 00:34 マーケティング理論は、主客が断絶している。だから心に響かない。マーケティング用語でマーケティングを語ってはいけない。「私は分かっている」という人が、一番分かっていない。未来は一緒に創っていくものだということを。
  • 00:39 橋本治はこう書いている「出版というものは、そもそも書物というものを大衆化する作業で、そしてそれ故にこそ購買者という対象を必要とする商売だ。…
  • 00:39 商売だからこそ、「商道徳」というモラルが必要になる。商売という、下手をすれば他人の欲望を刺激するだけのものになりかねないものだから「商道徳」というモラルが最も重要になる。」
  • 00:40 ここからが橋本治らしい。「だから私は、そのことで、もう二十年近く怒っている。「日本の活字人間は、なんてエラソーなくせに、頭が悪いんだ」と。「だから、関係というものの距離が測れないんだ」と。
  • 00:43 そしてここからが本質的。「本の出版を問題にするということは、量と質と、それから読者という対象と、そしてその対象の作り出す「これからの時間」をいう未来を問題にすることなのに、「出版」ということになると、必ず「俗悪」と「崇高」の二項対立だ」
  • 00:44 以上『浮上せよと活字は言う』より。浮上せよ、です。
  • 00:53 読者の「これからの時間」という未来を問題にしているかどうか。思考に時間軸を導入し、「まだ見ぬ未来」を想う。そこに創造性の秘密がある。ものづくりの秘密がある。
  • 01:06 @medicalmaccom 読むという行為は、もっと多様に捉えられるべきだ、という松岡正剛さんの立場にたっています。読書体験は、読者と著者の共同作業。  [in reply to medicalmaccom]
  • 01:08 @medicalmaccom それからもうひとつ。未来は、読書というある一点を起点とした未来。人生を変えるというのは大げさだとしても、それくらいの長いスパンでの関わり。だとすれば、決して独占などできないでしょう。「僕の本だけ読め」というのもムリですし  [in reply to medicalmaccom]
  • 01:11 @medicalmaccom だからこそ、崇高と俗悪なんて二元論での議論はムダで、読者にとって、読者のこれからにとってどうなのか、の視点が重要なのだと、橋本治は指摘しています。  [in reply to medicalmaccom]
  • 01:12 読者の未来を考える、ということが出版に携わる者がもつべき商道徳ですね。